前立腺肥大症とは
前立腺は膀胱の直下にあって、尿道を取り囲むように存在する男性特有の臓器です。ここでは前立腺液が分泌されるのですが、これは精子に栄養を与える、保護する役割を担っています。
主な原因
この前立腺が肥大化することで様々な症状が起きている状態が前立腺肥大症です。原因としては加齢が最も多いとされ、50代男性の2割、80代男性では8割の方に前立腺肥大症がみられるようになると言われています。加齢以外にも男性ホルモンや遺伝的要因も挙げられています。ちなみに通常の前立腺の大きさは、クルミ程度と言われますが、肥大化すると鶏卵やみかん大くらいまで大きくなります。
主な症状
前立腺の肥大によって取り囲まれている尿道が圧迫を受けるようになると排尿に関する症状が見受けられるようになります。主な症状は頻尿(夜間頻尿)、尿意切迫感、残尿感といったもので、残尿が増えると膀胱炎などの尿路感染症を発症しやすく、さらに進行すると溢流性尿失禁や尿閉(排尿したくても出せない)もみられ、これが腎機能を低下させることにもつながりますので早めの治療が臨まれます。
診断について
診断をつける際に行われる検査は、尿流測定(排尿の際の勢いや時間を調べる)や腹部超音波検査(前立腺の形や大きさを調べる)といったもので、前立腺がんの有無を確認するための血液検査なども行われます。
治療について
治療の基本は薬物療法でα1受容体拮抗薬、PDE5阻害薬、5α還元酵素阻害薬が使用されます。薬物療法では改善が困難な場合は、前立腺の組織を尿道内視鏡を用いてくり抜く経尿道的前立腺核出術(TUEB)などの手術療法を行っていきます。